不動産の購入、処分で、「競売やオークションでは、取引額が低くなる」というイメージをもつ方は多いのではないでしょうか。一緒に話題になることも多い競売とオークションではどんな違いがあるのかお話しましょう。
■競売(けいばい)は裁判所が行う
“買い手が値段をつけて一番高い値をつけると落札できる”というのが競売、オークションです。ただ、“けいばい”と発音される“競売”は、差し押さえにあった物件を、お金に変えるため裁判所が行うものです。入札の方法は、セリではなく『一発入札』です。
オークションでは、セリで値段が上がっていきます。どうしてもほしい物件に対しては、予算の中で融通して、金額を上乗せして落札することも可能です。
また、競売物件の情報は、裁判所で閲覧できますが、不動産に詳しいプロの参加がほとんどですから、リクスの低い物件を個人が落札するのは、難しいでしょう。
入札時に、告示に記載された『買い受け保証金』を入金しなければなりません。標準価格の2割程度の額が示されていることがほとんどですから、2000万円程度の物件では、400万円程の振込を先にしなければなりません。
■オークション出品の理由はいろいろ
最近注目されているのが、不動産のネットオークション出品です。
こちらは、サイトを閲覧している人が多いので、広告力・拡散力が高く、スピーディーに契約にいたる可能性があります。
入札者がいなければ成立しませんが、早く現金化したいと考える利用者が多いので、安い価格で決まることもあります。
個人、業者の出品では、決まりにくい事情のある物件を、一般流通よりも迅速に、できるだけ高い価格で売りたいと考えて、オークションを選ぶケースが多いようです。
中には、競売で買い手が決まらずオークションに出品と言う事例もあります。
トラブルに巻き込まれないためには、出品理由を良く研究するべきです。
(中には業者が一般流通に準ずる形で売買しているものもあります。)
■競売やオークションでの注意
競売では、税金の未納、融資先への返済が出来ないなどの影に、トラブルを抱えているケースが多いですから、購入するなら十分な調査が必要です。
オークションでも、競売物件には同様の注意が必要です。
また、個人との取引になった場合には、契約や引き渡し、瑕疵についての保証などトラブルが起こらないように十分な対策が必要です。
何れにせよ、業者の出品以外は、
・落札後、瑕疵が見つかる
・測量が不正確で測量費用がかかる
・近隣とのトラブル発覚
…など、リスクが隠れていることも織り込み済みで利用する覚悟が必要です。