市場価格よりも安く不動産を手に入れられるということで、競売物件に興味を持たれる方もいるのではないでしょうか。差し押さえを受けて、裁判所から競売に出された物件は、どのように買い付けされるのでしょうか。競売物件の取引の流れをご紹介しましょう。
■競売物件の取引の流れ
競売物件は、差し押さえなどを受けて、裁判所から競売に出されます。
どんな物件が競売対象になっているのか知るには、欲しい物件の所轄裁判所に出向いて競売情報を閲覧する方法があります。他に、インターネット上で公開を行っている検索システム「BIT競売情報システム」や、一般社団法人不動産競売流通協会のホームページ「981.jp」、新聞広告をみる方法があります。
物件公開の2週間後には入札になりますから、入札したい物件があれば、締め切り前に入札手続きを行わなければなりません。買受申し出に必要な書類をそろえましょう。
<買受申し出に必要な書類>
・入札セット:入札書・入札用封筒・裁判所保管金振込依頼書・保証金振込証明書(裁判所でもらいます)
・買受申出の保証金(公告書に書いてある額)
・印鑑(認印でも可)
・住民票(法人の場合は資格証明書または登記事項証明書)
入札セットで希望落札額を申請しますが、オークションと違って一発入札ですから、『3点セット』と呼ばれる『現状調査報告書』『評価書』『物件明細書』の3つを良くみて研究の上、希望価格を決めましょう。
■競売で物件購入を考えているなら
『資金計画をあらかじめ立てておく』
物件が出回ってから入札まで2週間程度しかありません。入札書類提出前から、資金計画を練り、予算をどれくらいにするか決めておきましょう。支払いは、自己資金だけでなく、ローンを組むことも可能です。あらかじめ支払い方法と金額を決めておいたほうが安心です。
『競売物件のデメリットを知っておく』
・瑕疵に対する補償がない
・物件の明け渡しが進まないことがある
・遺留物は法的な手続きを踏まないとトラブルになる
一般の市場に出回る不動産売買では、業者と消費者の間で契約が結ばれますから、購入者は消費者として守られていますが、競売は違います。
■競売での購入は知識が必要
競売のシステムそのものは、それほど難しいものではありませんが、入札に成功してもスムーズに明け渡しが行われないケースがあり注意が必要です。抵当権が外れなかったり、居座りにあったり…。元の持ち主が複数のところから借金していると、さらに複雑です。
・占有者なし(退去済み)
・残存物なし
・競売原因がはっきりしていて、競売でケリが付くことが予想できる
・境界や法定地上権の問題がない
こうした問題が起きにくい物件をしっかり下調べして、入札に臨むと良いでしょう。