空き家問題が注目されるようになり、2015年には『空き家対策特別措置法』が施行されました。それまで、相続後そのまま放置されるケースが多く、どんなボロ屋でも税制面の優遇が受けられていたのが、『特定空き家』指定で税金が跳ね上がる仕組みになりました。空き家として放置した場合のデメリットを知っておくべきでしょう。
■売却しない限り管理がついてまわる
空き家が放置されてしまうケースが多い理由は…
・賃貸利用や売却を考えたが、手続きや資金の問題で行き詰まった
・更地にすると固定資産税や都市計画税が高くなる
・施設に入居させたものの本人が亡くなっていない
・相続の調整が難航していて登記の書き換えも行えていない
相続で揉めていようと、登記の書き換えが出来ていなくても、誰かが管理しなければ、建物の老朽化や衛生状態の悪化は加速してしまいます。
休日のたびに換気や害虫駆除、雑草抜きを自分で行うか、業者を頼んで行わなければ、いつ『特定空き家』になるかわかりません。
『空き家対策特別措置法』では、固定資産税の納税情報を利用して行政からのアプローチがありますから、放置して知らんふりを通すことができません。
空き家のまま住宅を所有し続けるのは、時間的にも経済的にも負担が大きくなるのは目に見えています。
■『特定空き家』では税が6倍になるかも!
『特定空き家』に指定されてしまえば、それまで宅地使用ということで優遇されていた固定資産税が最大6倍、都市計画税も3倍になる可能性があります。
優遇対象外になるということですから、指定されれば確実に税額は上がります。
(参考)東京都主税局『住宅用地とは何ですか。また、住宅用地に対する特例措置とは何ですか』http://www.tax.metro.tokyo.jp/shitsumon/tozei/index_o.htm#o20
また、相続の面から検討した場合にも、3年以内に売却した場合は、譲渡所得に対する特例が受けられます。
どうせ売却するなら、こうした特例が利用できるうちに話を進めたほうが賢明です。
(参考)国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3306.htm
■長期放置すると買い手がつきにくくなる
長期放置した空き家は、カビや害虫の発生から傷みが大きくなってしまいます。
配管のサビや腐食、庭木の根や枝が伸び放題というのも困りものです。
空き家になっていた期間が短いほど、修繕費用もやすく済みますし、環境の悪化も最小限に抑えられ、売却価格も高くなるでしょう。
また、そのまま転売する業者よりも、リノベーションを得意とする業者のほうが、高い買取額になる傾向があります。
デザイン性が高く、物件の価値を高めて販売している業者では、品質の管理もガイドラインに沿っており、人気が出ているからでしょう。
譲り受けても、住むことが出来ない場合には、空き家として放置せず、活用を考えましょう。