空き家の件数は増え続け、平成25年の総務省の調査によると、820万件にも上ったと言います。平成27年には空き家対策措置法も施行され、相続などで家を引き継いだときの対策が必要な時代になりました。空き家件数の増加理由と、当事者になったときの対策を考えてみましょう。
■空き家の件数増加について
空き家は大きく分けて4つの種類に分けられます。
① 賃貸用(空室)
② 売却用(売却先決定待ち)
③ 二次的住宅(別荘などで、住んでいない期間がある)
④ その他(活用のメドが立っていない)
住宅の数が増加し、特に目的が決まっていない④の空き家が増えていることがわかります。
こうした空き家が増えた背景には、核家族化が進み、引き継いだ家にすぐには住めない事情が見えてきます。
・老人施設入所が決まり自宅が空き家になっている
・高齢の親が亡くなり相続したが自分は住めない
・相続で揉めて登記の移動が出来ない
・建物が古いのでどのように処分するか迷ってそのままにしている
所有者本人が高齢になっても、存命のうちは住宅の処分を相談するのはしのびないと感じる場合も多いですし、いざ亡くなって相続で揉めてしまうなど、スムーズに解決できないケースがあります。
(参考)ニッセイ基礎研究所『総務省統計局:住宅土地統計調査のグラフ』
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52838?site=nli
■空き家管理のリスク
住宅の売却や賃貸活用をするには、実際の所有者として登記されていることが必要です。
相続の問題と複雑に絡んで、手続きそのものが面倒なケースもあります。
しかし、だからといって空き家にしておくのは管理の面で負担がかかります。
人が住んでいない家屋は傷みやすく、定期的に換気や草むしり、害虫駆除などのメンテナンスを行う必要があります。
離れたところに住んでいる場合、交通費、作業の時間を考えるとかなりの負担ですし、万が一、古くなった建物の壁が剥がれたり、塀が倒れたりして怪我をさせるようなことになれば補償問題に発展します。
景観を損なう、倒壊のキケンがある場合には、『特定空き家』に指定され、税金の優遇廃止、撤去費用の請求などを、自治体から受けるかもしれません。
登記していなくても、固定資産税納入の記録から連絡先を割り出すでしょう。
■住宅を引き継ぐ可能性がある時には?
住むことが出来ないとわかっている場合、売却を視野に入れた準備が必要でしょう。
相続で揉めないように、遺言書を残してもらうが一番ですが、親族で話し合いを行っておくことも大切です。
登記の移動が行われていれば、所有者が売却出来ますし、中古物件の価値を高めて売却する業者に相談すると、高く売ることも可能です。
空き家管理の当事者になって慌てないよう、対策を考えておくことが大切です。