空き家が増え、『空き家対策特別措置法』が2016年全面施行されました。日常のニュースでも、老朽化の激しい『特定空き家』について取り上げられ、自治体の指導が可能になってきました。
空き家についての問題点をまとめてみましょう。
■耐震化に対応していない・老朽化によるキケン
築年数の古い家屋が、適切な管理を行われずに放置された場合、壁が崩れる、瓦が落ちるといったキケンが増します。
特に、1981年より前に建てられている場合、耐震化基準を満たしていない可能性があり、注意が必要です。
傷みが激しく倒壊のキケンがある場合や、ゴミ屋敷、景観を著しく損なう管理状況が悪い場合には、『特定空き家』として指定され、取り壊しを迫られます。
建物の所有者が、適切な管理をしていない建物は、付近を通ったときにものが落ちてきたり、崩れたりすることも心配ですし、台風などで付属物が飛んで他の家のガラスを割るかもしれません。
ものを壊したり、他人を怪我させたりした場合、補償の問題も起こってきます。
■スラム化・放火など犯罪の温床
管理の出来ていない空き家があることで、持ち主ではない人間が出入りするようになったり、治安が悪くなったりする場合があります。
住民登録されていない身元の明らかでない人が住むつくのもイヤですし、犯罪に利用される心配が大きくなります。
また、家の周りにものが放置されたままになって放火の標的になったり、景観が損なわれたり、『住みたい街』としての環境が失われて行くことは避けなければなりません。
少子高齢化社会の流れが進んでいく以上、所有者個人の責任に任せるだけでなく、国や自治体が税制や法律、補助金などの対策を講じていくことが必要なのです。
■空き家の所有者が考えておきたいこと
『管理責任を問われる』
空き家の瓦や立木の枝が飛んで人に当たれば、怪我をしかねませんし、責任を問われるでしょう。
相続放棄していても、次の相続権を持った人が引き継ぐか、所有権が正式に動くまで責任を問われるので注意が必要です。
火事の場合、『失火法』によって賠償責任はのがれる可能性がありますが、ご近所に不安を与えていることは確かです。
『空き家にすることで老朽化が進む』
相続の調整が必要だったり、すぐに住めない事情があったり、とりあえずそのまま様子を見るケースでは、人が住んでいないことで傷みが早くなるケースがあります。
カビや腐食、シロアリや鳥の巣、ネズミ、スズメバチ対策など適切な管理が必要です。
『放置は資産価値を下げ負担だけが残る』
更地よりも住宅が建っていたほうが、固定資産税などが安く済むということがありましたが、特定空き家になれば、そうした特例も認められません。
利用価値が高いうちに売却するか、リノベーションして賃貸物件にするなど、再利用の方法を検討した方がよいでしょう。