所有している物件の家賃を上げたい場合、契約更新のタイミングで変更は可能なのでしょうか?
すでに入居している相手に突っぱねられたら、裁判になることもあり、トラブルにならないように手順を踏むことが大事です。
■家賃値上げが認められる条件は?
・地価上昇などで税金がとても上がった
・長年入居している間に近隣の相場とズレが出ている
・入居者とオーナーが協議の上、相当と認めた場合
契約更新のタイミングで、「次回更新するには○円家賃があがります」とした場合には、入居者は拒否する権利があるため、トラブルになる可能性があります。
前もって交渉しておくことが必要です。
もし、交渉がうまくいかない場合には、裁判所での話し合いが必要になります。
『調停』
入居者とオーナーが裁判所で話し合い、折り合いが付けば「調停調書」という公的な和解書類を作成します。
『訴訟』
裁判所に訴えを起こすことです。
弁護士や不動産鑑定士の必要が必要になり、採算が取れないケースが多いです。
訴訟になってしまうと、たとえ家賃値上げが成功しても、費用に見合った収益が上がるとは思えませんし、トラブルになった相手に物件を貸し続けるのも気まずいですから、交渉で上手くおさめることが大切です。
■契約の時点で手を打っておく
賃貸契約では、入居者の居住権が守られていますし、契約解除したくても出来ず、オーナーが困ってしまう場合があります。
契約書の中に特約として、「自動増額条項」を盛り込むのがおすすめです。
「借地借家法30条」では、借主に不利な条項は無効とされていますが、合理的な条件が明記されていれば、認めてもらうことが出来ます。
増額率が固定資産税の上昇率を根拠にしているケースでは、家賃値上げが認められた判例があります。
正当性を示す材料として納得してもらえれば良いのですが、それでも裁判になってしまった場合には、裁判の間もとの家賃を払ってもらい、裁判で値上げを認める判決が出れば、差額に1割の遅延損害金を請求出来ます。
■『供託』されると契約解除もままならない
家賃値上げに応じないなら、契約解除したいところですが、入居者側に『供託』という法的な手段を取られるとそれも出来ません。
オーナーとしては、値上げを通告してからでは、もとの家賃を受け取らないという手段に出ることもあるでしょう。
しかし、法務局に『供託』という形で、今までと同じ金額の家賃を入居者が支払っていたら、家賃滞納を理由に契約解除できなくなってしまうのです。
賃貸契約を結ぶときには、できるだけトラブルに対処する方法が用意された内容にすることが必要ですし、信頼できる仲介業者に間に入ってもらう必要があるのです。